かごしま環境未来館
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更新日:2022年05月11日
令和4年4月29日(金曜日・祝日)、鹿児島県立博物館・城山自然遊歩道にて、かごしま環境未来館講座「鹿児島の歴史を見守った城山の森ウォッチング」を開催しました。
この講座で、生物学における鹿児島での歴史的な大発見が紹介されていました。その1つは、天然記念物指定・保存のための学術調査員の寺田先生が紹介された、鹿児島県立博物館・旧考古資料館前にあるソテツに関する話題です。
ソテツは裸子植物です。裸子植物の中で、精子をつくるのはイチョウとソテツだけ。中学校の理科や高校の生物で学習したのを覚えていますか?
旧考古資料館前にあるソテツは、世界で初めて精子が発見されたソテツです。明治29年(1896年)、日本で大学が誕生して10年あまりしか経っていなかった当時、東京帝国大学(現在の東京大学)の池野成一郎博士による発見は、生物学の世界で快挙とされました。
もう1つは、県立博物館学芸主事の中峯先生が紹介されたクモの話題です。
このマークは、日本蜘蛛学会のマークです。このマークのモチーフになっているのは「キムラグモ」。腹部に体節のなごりがあり、原始的な特徴をもつクモで、生きた化石とも言われています。大正9年(1920年)、鹿児島の城山で、当時旧制高等学校の学生だった木村有香さんによって発見されました。「キムラグモ」という名前は、発見者である木村さんにちなんでつけられています。
キムラグモは、糸で網をはって巣をつくるクモとは違い、崖に横穴を掘り、穴の入口にまわりの土と同じ色をした戸をつけて巣にします。近づいた生き物の振動を察知して戸を開け捕食するという生態はめずらしく、城山の崖をじっと眺めて見つけてみたいですね。
講師の先生方がお話してくださった生き物たちの物語は、生き物たちへの親しみや慈しむ気持ちを育ててくれることも実感しました。魅力満載の城山の森へ、ぜひ、出かけてみてください。